長崎市長 立候補 赤木幸仁

長崎市長 立候補 赤木幸仁

お知らせ 2022.07.20

九州・長崎IRの経過と未来

4月20日長崎県議会本会議場で佐世保市ハウステンボス横に計画する、IR区域整備計画が採決結果、

〈賛成〉42対3〈反対〉となり、可決されました。

ここに至るまで紆余曲折。様々な議論の積み重ねがあり懸念の解消を行い、素晴らしい計画ができたと胸を張る方々がいる一方、解消できなかった課題もあります。私が県議となって3年。この間IRに対しても様々な形で意見を申し上げてきました。

できたこと、できなかったこと。その時私がどう行動していたのか。今後のためにも記しておこうと思っております。

また、動画でも私の想いを残しておきます。

IR賛成と反対

この計画が可決されたことにより、反対派の方々から様々な声が上がりました。私も100%賛成でも反対でもない立場でこの計画を注視してきた身としては、もちろん耳を傾けないつもりもございません。しかし、そんな立場だからこそどうやったら上手くいくのか。解決し、長崎県の皆様、事業者にとってメリットが生まれるのか。そういった視点で議論を行ってきました。

根っこから反対されている方々とは私はスタンスが異なります。

今回否決された和歌山もそうです。資金調達の部分が焦点であったとの報道ですが、そもそもIRに反対でしたら行政の力をつかいながら計画案をつくることさえできなかったと思います。

長崎県の場合、IR推進課があります。長崎県でも長い年月をかけて議論の積み重ねがありました。今に始まったことではありません。

私はこのIRそのものに対してではなく、この計画について賛成なのか反対なのか。よりよくするにはどうすればよいのかというスタンスです。安易に賛成も反対もするつもりはもともとございません。

長崎県議会での議論の歴史

議事録を遡ると最初に本会議場で議論になったのは2000年。朝長佐世保市長が県議時代、金子知事時代となります。そこから考えたら20年以上。最初は単なる提案・構想であったものが少しずつ県側の答弁も変わり、国も動き、具体的になってきたのがわかります。

しかし、様々な課題があります。治安への懸念やギャンブル依存症といった負の側面の解決。ノウハウが国内にはないので、事業者との連携。カジノに焦点が集まりがちですが、様々な業界に波及できるような仕組みづくり。懸念も期待も長い年月をかけて、長崎県だけでなく、もちろん国会でも、市議会でも議論があってきました。私が議員になったのは2019年。その議論の積み上げに参画することになります。

同時にこのIRをめぐる議論では、金銭授受も問題となり、国会議員が逮捕される事案もありました。長崎県議会でも高い廉潔性が求められ、我々議員は選考過程において事業者との接触、疑われる行動は一切行わないこととなりました。当然疑われるようなことは私にとってメリットは何もないですので、議論をするにしても長崎県からの情報をもとに議論することになりました。

選考過程に問題がなかったのか

長崎県には2021年2月、当初5者がエントリーしました。

カジノオーストリアインターナショナルジャパン(CAIJ)

オシドリ・コンソーシアム

ニキチャウフーグループ

カレントグループ

ワン キュウシュウ

1次審査ではコンセプトや運営能力、財務状況を書類評価し、

182.9点 ニキチャウフーグループ

154.0点 オシドリ・コンソーシアム

94.7点 カジノオーストリアインターナショナルジャパン(CAIJ)

という結果で通過となりました。

2次審査ではより具体的な計画内容を確認し、カジノ施設や危機管理体制などが問われました。

結果1次審査とは逆転し、

697点でCAIJ

682.8点でオシドリ

667.1点でニキという結果となった。

 

逆転したことに対しておかしいという意見も多く聞かれましたが、詳細な配点を添付しました。

IR推進課の言い分としては1次と2次では見ている視点が異なるのでとのこと。そこは理解したのですが、今回次点となったオシドリさん側から様々な意見広告が出されることとなりました。

長崎県が貶められる状況を私は望まない

結果が公表される前突然オシドリ側から撤退を表明しました。

プレスリリースによると長崎県が課すIRにおける開発・運営上のルールを改善せず、RFP(公募・選定)プロセスが倫理的かつ公平公正に実施されない限り、長崎IRのRFPへの参加を取りやめる」や、「長崎県が課す制約の多くが不合理であり、現状では合理的かつ効果的な方法で事業を行うことが出来ない」と記載がされておりました。

 

それまで私たち県議には県を通じての情報しかなかったもので、驚きと憤りをもってこの表明を受け止めました。それは長崎県・オシドリ両者に対してです。選考・IR誘致以前に高度に透明性や公平公正に担保されていなければならない事案に対し、このような発信がされたことは長崎県・県民の皆様に対して申し訳ない気持ちと、どうにか対応して貶められる状況を打破したいと私は考え、初めてオシドリ側の言い分も伺いましたし、県の言い分も伺いました。

※オシドリ側との接触については会議室以外ございません。

オシドリ側も相当な費用負担をして、県内事業者とも連携しながら計画を作ってきた側面があります。なので、県内事業者にも影響がでることがないよう配慮が必要であり、一定オシドリ側の主張も理解すべきところがありました。

 

令和3年9月の県政一般質問ではこの点を副知事や担当部長に意見しました。県民の皆様に対して納得がいくような答弁は頂けけないまま、両者の溝は埋まることはありませんでした。

※内容は過去のブログでも、県議会議事録でもみることができます

最後まで明かされない資金調達先の是非

CAIJに決まり、焦点は内容となります。行政側が投資をするわけではなく、あくまで民間事業。民間企業として利益追求ももちろん大事ですし、関わる企業も同様となります。出された資料を見ると、ホテル、ショッピング、各種企画イベントとワクワクするものがちりばめられておりました。それはとてもよいのですが、どうやってやるのか。具体的な企業団体との協力が不可欠となります。そこは県議会だけでなく、参画する企業側にとっても本当にCAIJが信用できるのか、実現可能かつ持続可能な計画であるのか。民間企業視点シビアにみられたはずです。

名前があがった企業は全てではありませんが、

株式会社ドワンゴ、凸版グループ、JTBグループ、ホテルザッハー、医療法人財団健生会、スワロフスキー、セコム株式会社など連ねております。

残念ながら資金調達先、具体的な銀行名等は明かされませんでした。私としては明かすのが全てではなく、本当に信用できるのかが焦点でした。

今後このIR事業に、県内企業も関わるでしょう。その際、資金調達に疑問があれば県内企業にも影響がでてしまいます。それは避けなければならなりませんし、誰が責任をとるのか明確にせねばなりません。今回決定をしたことに、もし失敗する結果となれば議会にも私にも責任が伴うと考えております。調達先明示できなければ、賛成できない事態となりますが、CAIJや県側もその事態を避けるべく、大石賢吾知事に全てコミットメントレターをみせ、確認をしたと議会(総務委員会)でしっかり報告をして頂きました。県職員に責任をとらせることは今回なかなか難しい事案です。選挙を経た人が何かあった場合責任がとれる。その構図が明示されたことにより、議会側も一定納得することになりました。ただ、私に何も責任がないことにはもちろんなりませんが。

ハウステンボスとの調和

ハウステンボスの隣といいますが、一部にまたがってつくられる九州・長崎IR。当然ハウステンボスとの連携や世界観を壊さない調和は必要となってきます。これまでパース図は何度も変更を繰り返されてきました。どんな建物になるのか、景観を壊さないのかとても大事ですし、IRではなく、ハウステンボスを好きで来ていただける方もいらっしゃるわけですから。

 

ワインボトルのホテルや真ん中のオレンジMICE施設、パレスハウステンボスの庭園がなくなっている様子など県民の皆様からもご意見頂きました。

これまで何度も変更してきたことから、これからも「より良い」案として様々な変更が重ねられていくかと思います。MICE施設はオレンジではなくなりましたが、今後もハウステンボスから見たMICE、逆に関しても相乗効果を生むためには調和も必要です。世界観の共有かつ、アイコニックな建物という難しい課題ではありますが、他事業者と比べてフワッとしすぎていたので、今後さらなる具体的に世界観を共有し、色んな県内事業者をまきこんでいけるようにしなければなりません。

準備と経験不足

ここまで述べてきたように、はっきり申し上げてCAIJ社の準備不足は否めません。それは他事業者と比較して明らかでもあります。そこから巻き返してきたのは認めますが、選定時と思い描いてきた具体的かつ、透明性ある情報開示には乖離があります。当初言ってきたことからの変節は議会軽視と言われても仕方がないことだと思っております。

※議会軽視だから議論しないとかは私のスタンスではありません

また、年間来場者数、収益も過大だとご指摘もあります。

ハウステンボスの年間来場者数は一番多いH8に380万人。HIS傘下になって業績は持ち直したものの、それでも300万人が最多となります。今回のIR区域への来訪者数洲池には2031年に673万人。平均すると1日約2万人が来訪することとなります。送客の課題もあり、車、空路➡船、JRでの来訪が考えられますが本当にそれだけ人が来て、捌けるのか考えられるにはまだ経験が足りません。東京ディズニーランドは年間3千万人(コロナ前)と桁が違いますが、ほとんど電車と車で来訪されて、舞浜駅から入場するまでのワクワク感の演出といったどういった人が何を求めてくるのか。歴史を積み重ねることによって醸造されてきたものでしょう。

CAIJ社には丁寧に課題解決の見える化を行って頂きたいのと、今後いったいどうなっていくのか。書面では伝わらない今後の姿をわかりやすく県民の皆様に伝えて、反対だろうが賛成だろうがよりよい形になるよう動いてもらわねばなりません。

責任

ここまで述べてくるとなんで賛成したんだと思われるかもしれません。

そもそも民間事業であり、長崎県がお金を出して建設するわけでもありません。

※審査等に伴う人件費等は既にかかっています

課題はあるものの、その解決への道筋も考えられ、賭けるわけでもなく、多くの企業や人が集って新たなチャレンジが生まれる可能性を見出せたからでもあります。

色んな懸念はもちろんあります。知らないことでの不安もあるでしょう。

民間事業に対して、県議としてもちろんインフラ、ギャンブル依存症などの解決には動いていきますし、可能性を拡大させる取り組みにできることがあれば私も力を尽くします。

この案に賛成した責任は今後も伴って参ります。失敗するだろうと言うのは簡単です。

どうやって多くの皆様にメリットを享受していくのか。

まだまだわからないことがあるからこそ、責任を果たして参ります。